Sparkles United


万城目学&読書
January 20, 2010, 9:07 pm
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ブログを読んでくださっている方は承知しておられるとおり、わたしは日本の小説というものを余り読みません。(ついでに、日本映画もとんと見ません。特に映画館では。)子供の頃や学生の頃は太宰治や夏目漱石を読んだり、宮本輝や吉本ばななやティーンズ小説を読んだり、まあちょこちょこと読んではいましたが、現代作家ではほんとに少し。でもたまに本屋さんに行くと「おや」という発見があり、そうすると一気呵成にその作家の作品を読みます。

一時期は小野不由美さんの本にハマって読みました。でも結論もなくシリーズものを書くなんてひどい。。。未だに完結しないシリーズが10年近く放っておかれ、どうなっているんだろうかと時々思い出します。

それはそうと、「鹿男あをによし」をドラマでやっていたとき、それに原作があることを知り、ドラマは見なかったものの小説は読んでみました。余りに突拍子のない話なのですがもの凄く面白くて、二晩くらいであっという間に読んだ記憶があります。

その後、万城目作品を買いそろえ、似た感じの森見登美彦作品もいくつか買い、そのまま本棚の後ろの列(本棚はもはや一段に前後2列で詰め込んである)で2年近く眠っていたのでした。

お正月明け、テレビにも飽きドラマにも飽き、映画館で上映中の目玉作品も観てしまっていたので、なんとなく手に取ったのが「プリンセス・トヨトミ」。万城目さんの比較的最近の本です。部屋にはビジネス書の山が二つくらいあるのにも関わらず、どうも小説が読みたくなってしまったのです。鹿男が奈良で本作が大阪が舞台です。周りにある歴史都市にくらべミステリーのなさそうな大阪という土地を舞台に(わたしの勝手なイメージで済みません)、こんな突拍子もない話を思いつくものか、という感じでした。とにかく面白くて、またあっという間に読みました。

そこで辿り着いたのが「鴨川ホルモー 」。っていうか、順番が逆な気もします。これが京都を舞台にしたデビュー作です。
ホルモーというのは特定の人にしか見えない鬼を使って行う戦争ごっこ、というか対戦ゲームの名前です。京都の4大学対抗で千年前から伝わる(かもしれない)ホルモーに引きずり込まれた大学生のお話。まあ、まったく訳が分からないです。でも、万城目さんの作品は設定は奇天烈なのに、話の展開や登場人物の悩み、会話、人間関係が妙に納得感、現実感があって、すっと入り込める気がします。それに古都の地下には蠢く「なにか」があるような気がして、見たいけど見たくない感じが自分の持っている古都のイメージにぴったりと来ます。

とはいえ、京都や京大というものに私が一方的に憧れているだけかもしれません。
大学受験のセンター試験申し込み直前になって突然京大を受けたいと言い出し、「今から社会科をもうひとつ勉強して間に合うか」と先生に相談しにいったところ、あっさり「何をいまさら、やめときなさい」と諭され諦めた。。。でも今考えたら地理のセンターくらい、2週間あれば間に合ったんじゃないかという気も。(当時東大と京大はセンター試験の社会が2科目だったのです。今もかな?ちなみに私は世界史受験でしたが、地理のほうが沢山単位を取っていました。)(注:正確には、コメント参照のこと)
この思いつきで終わった一件が「実現されなかったつかのまの夢」として私の中に残り、無意識のうちに「京都的なもの」に惹かれてしまうような気もします。
もし受けていたら平野啓一郎さんと同窓生?(あ、いえ、受かっていたら。。。)

そう、同世代の京大出身作家は私の知る限り3人いて、一人は平野さん、森見さん、そして万城目さんです。平野さんの作品はデビュー作を受賞時に読みました。ファンの方には申し訳ないですが、エーコなど類似作品を読んでいた私には新鮮みが感じられず、難しい言葉を使っているなあ、という印象しかありません。今回万城目作品を読破した後、森見登美彦さんの「夜は短し歩けよ乙女」を少し読んでみましたが、こちらも言葉遣いが古風なわりに話には深みがなく感じました。設定がすっ頓狂なのに話の運びに納得感がある万城目さんにたいし、森見さんの話は筋書きに脈絡がなくて「この人それで何を書きたいのかしら?」と思ってしまう。あくまでも私の個人の感想です。でも、なんかね。どちらも頓狂な話なのに、何故でしょう?

というわけで、万城目さんの作品にどっぷりとハマった2週間。さっき「作家の読書道」というウェブ上の連載で万城目さんの回を見つけ、その読書歴にさらにうなってしまいました。

http://www.webdoku.jp/rensai/sakka/michi74.html

子供の頃に読んでいた本はかなり自分と似通っていて、ただ途中から日本文学を読破されていた、というあたりからかなり違います。わたしは海外文学を片っ端から読んでいたので。でも何だか原点が同じな気がして親近感が湧きました。紹介本を参考に、幾つか読んでみようかと思っています。



気になる本
December 13, 2009, 12:44 am
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今日ツタヤで仕入れてきた気になる本たち(買ったのではなく)。主にフィガロを立ち読みした情報です。
ウォーターランド (レビューを読んだら良さそうだった現代小説)
暴力はどこからきたか―人間性の起源を探る 生態学は大学時代から興味があります
他者の苦痛へのまなざしタイトルに惹かれた
シッダールタ ヘッセがこんな本を書いているなんて驚き
近代日本の政治家 岩波らしい一冊。日本の政治ってどんなだろう。
「貞観政要」の政治学 (同時代ライブラリー (329))政治学の山内教授のおすすめ本

買ったのはこれ。西洋美術101鑑賞ガイドブック



Red Cliff
November 7, 2008, 12:36 am
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日頃からこのブログをチェックしてくれている友人とレッドクリフ、観てきました。(ちゃんとレビュー書いてますよ)

夏前、初めて予告編を見てからずうっと待ちに待った上映。期待通りでした~!!!!

カンフー映画好きだという時点で大分変な目で見られている私ですが、女性が三国志好きってそんなに変かな?わたしはかなりの中国史好きです。歴史も好きだし、子供のころ読んだ三国志 、水滸伝、西遊記などに未だにワクワクします。読んだのは実は岩波の子供向け文庫版(これ
)。普通に読む本だと思っていたので(本当に、純粋に)、周りに殆ど三国志を読んだことがある人がいなくて驚きました(一緒に映画に行った友人と、台湾人の友達のみ)。血が躍るとは将にこのこと、と思うくらい劇的で、しかも詩的な世界です。

恥ずかしながら、友人に言われるまでRed Cliffが赤壁だとは気が付かなかった~。Cliffって崖って単純に覚えていたせいもあるし、Cliffっていったら切り立った崖を上から足が竦みそうになって見下ろしているイメージじゃないですか(・・・私の英語学習はそうやって、すべてイメージで成り立ってるみたい)。確かに下から見上げたら壁だった。。。

映画の出来は大満足。流石John Woo監督。戦闘シーンのアクションがすさまじい。キャストも抜群だし、映像も綺麗だし。
今ではハリウッド映画の監督ばかりしている方ですが、台詞の掛け合いや間の取りかた、流れるようなシーンの撮りかた、詩情の取り入れかた、非常に中国文学らしい出来に仕上がっています。
漢文を読んだり(高校時代の記憶のみ)、中国人の書いた英語のエッセイなどを読んだりしていると、中国語って非常に叙情的で装飾的ですよね。映画を観ていてもそれを感じます。そこが日本映画やアメリカ映画と違ってていいな。

ストーリーは赤壁の戦いだけにフォーカスしています。三国志ってご存知のとおり非常に長くて、3人の武将の若いころから老年(50代)まで、さらに息子たちの世代になってやっとカタが付くんですよね。戦いも一杯あるし、戦っていない時代も一杯あるし、どこかにフォーカスしないと司馬遼太郎の小説のように(NHKの大河ドラマのように)なってしまいます。そういう意味で本作はハリウッド映画らしく「一点集中型」。私は好きだな。

最後に、もうひとつ感心したのは、スタッフが殆ど中国人だということ。SFX(アメリカ)や音響(意外と日本が多かった)以外のクレジットは95%くらい中国人でした。映画産業のレベルがこんなに上がっているということに驚き。当然といえば当然か。



文学史観にうなづく
May 10, 2007, 10:00 am
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新潮選書 世界文学を読みほどく (新潮選書)
評価:★★★★★

小説以外の本で久しぶりに夢中で読みました(文学論なのである意味、物語的ですが)。池澤夏樹さんが京都大学の文学部で、夏休みに行った一週間の集中講義を書き起こしたものです。7日間に亘り午前と午後ひとコマずつの講義でそれぞれ1作品、計10作品(加えイントロおよび総括)が紹介されています。
小説を読むのは好きですが、これまで文学論というものに全く興味を持ってきませんでした。「大学の文学部ってそもそも何のためにあるのか?文学部の教授って一生かかって小説の何を研究することがあるのか?」と思っていた訳です。文学も解釈の仕様によって世の中を読み解く鍵になったり、言葉の奥に現実を映す豊かな世界が広がっている、というのは正直驚きです。だって小説はそもそも人が創作したものであり、確かに時代の文化風土を反映しているかもしれないけど、時代を読み解くというのは大袈裟じゃないか、なんとでも解釈できるのではないか、人の作ったものをああでもない、こうでもないと穿り返すのは時間の無駄じゃないかと思っていたので。
子どものころからそう思っていたので、国語のテストなどいつも全然ダメでした。人が小説を解釈するのに正解なんてあるのか?と疑っていたせい。
正解があるかはともかくとして、解釈によってより豊かな世界に導かれるというのはあるかもしれない、と思った最初の経験はある映画です。「Prince & Me(邦題はなぜかプリティ・プリンセス)」という若い女の子向けのラブ・コメディがあって、普通だったら1回観て「ふうん」っていうくらいの映画なのですが、ある1シーンが好きで何度も観ています。それはシェークスピアのソネットの1文を主役の2人が議論する場面です。
主人公の女の子は医者志望で超努力家である一方、文学などは全く苦手で、(何故か)必修のシェークスピアの授業に苦労しています。シェークスピアの詩を読んでもさっぱり何が言いたいのか分からず、デンマークからの留学生(デンマークの皇太子という設定で、ある意味ハムレットと比喩を成している)に助けを求める。詩の解釈を教えてもらったヒロインは「だったらなんで最初からハッキリそう書かないの」とシェークスピアに対して腹を立てます。そこで彼が言うひとことが好き。「People rarely say what they mean. That’s the interesting part」。超当たり前といえば当たり前ですが、でも確かにそうだなあと思うのです。また、朗読するシェークスピアの詩がとても美しくて、いつか読んでみたい、と観るたびに惹かれてしまいます。
(映画自体は、別に特におススメするほどではなくて、「こんなの何度も観てるんだ」と思われるのが恥ずかしいかも。演技もイマイチだし。米国Yahoo!Movies(?)では「Better than expected」と書かれていましたが。)

ともかくとして、本書では19世紀から現代までの海外著名文学書が紹介されています。全部いつか読んでみたいと思っていて先送りにしていたものばかり。パルムの僧院、カラマーゾフの兄弟、ユリシーズ、百年の孤独、など。どれも荒筋さえ知らなかったので、大まかなストーリー、何故その作品がすごいか、作者が何を考えてそれを書いたか、そこからその国(ロシアやフランスやアメリカなど)の時代のどんな空気が読み取れるか、が分かって非常に面白かった。小説の書き方というのも、語り手と登場人物との距離のとり方、小説に出てくる世界の区切り方で色々な手法があるものだということも新鮮でした(つまりこれが「文体」というものなのか!)。また、その距離感というのが作者の世界観、しいては時代の色を理解するのに効いてくる。池澤さんはそれらの作品を通し、この約170年間で人間の認識する世界観がどれ位変わってきているかと読み解くことを講義の目的とされていて、それもまた面白かった。
密度は非常に濃いですが、口述筆記形式なので大変読みやすい一冊です。これを読んで、上に挙げた4作品は読まなきゃ!と思いました。

>続きをクリックすると、映画のそのシーンのQuoteに。 Continue reading